コラム
⑫インプラントのメインテナンス〜インプラントコラム〜
「公益社団法人日本口腔インプラント学会認定専門医」としてインプラント治療を検討されている方に向けて、出来るだけ噛み砕いてわかりやすく正しい情報をお伝えしています。
今回のテーマは「インプラントのメインテナンス」です。
12回に渡ってお送りしてきましたインプラントコラム、今回で最終回です。
インプラント治療は、失った歯を補うために非常に効果的な手段であり、多くの患者さんが選ばれています。
しかし、インプラントを一日でも長く、安定して使うためには、適切なメインテナンスが必要です。
ここでいうメインテナンスとは、インプラントの安定した機能を保つための定期的な健診のことを指します。これがなければ、インプラントの寿命が短くなり、また、それが原因で口腔内にさまざまな問題が発生する可能性があります。
では、具体的にはどのようなメインテナンスが必要なのでしょうか。
まず、インプラント周囲組織のメインテナンスとして、プラークコントロール、インプラント周囲粘膜の炎症の状態、プロービングの深さ、インプラント体の動揺、X線検査、細菌検査、咬合関係の確認などがあります。
次に、インプラント上部構造のメインテナンスとして、機械的な問題(スクリューの緩みや破折、上部構造の破折、対合歯の状態)や生物学的な問題(上部構造へのプラークの付着、プラットフォームの汚れ)をチェックすることが必要です。
これらのメインテナンスを3~6か月に一度、かかりつけ歯科医院を受診することです。この定期健診では、お口の中の汚れのつき具合やX線写真撮影を確認し、問題が生じていないかを確認してもらいます。
インプラントも自分の歯と同じで、歯周病菌が増えるとインプラント周囲炎になる可能性があります。この病気は、痛みが出る時には相当進行していることが多いため、早めの受診が重要となります。
これらのメインテナンスを適切に行うことで、インプラントを長持ちさせることができ、その機能を維持することが可能になります。
また、早期に問題を見つけることで、悪化する前に対策を講じることができます。
インプラントは人工の歯であっても適切なケアが必要です。自分の歯と同じように、定期的なチェックとメインテナンスを行い、健康な口腔環境を保つことが大切です。それが長く安心してインプラントを使用し続けるための秘訣なのです。